2011年02月24日

仕事の効率を考える(2)

前回は仕事の効率を上げるために必要な項目を3つあげました。


http://yu-individual.seesaa.net/article/185140916.html


そこで今回は、「(1)計画を立てて仕事の優劣(重み付け)をつける」について具体的に考えてみたいと思います。


まず仕事の優劣をつけるには、その仕事の「期限」と「取り組みやすさ」を考える必要があると思います。


「期限」には、クライアントの事情(商品リリースのタイミングや競合他社への牽制など)や自社の都合(売上目標や活動計画など)によって定められる期限のみならず、法律等で定められる期限も含まれます。


「取り組みやすさ」は、難解なミッションで考える時間が必要なもの、または単純な作業でルーチン化できるものが該当します。


特許業務の場合、クライアントの要望に答えるための仕事(例えば、権利網を構築するための特許出願、または製品が他社の特許に抵触していないか否かの調査や鑑定)は、期限が短い半面、ちゃんと方針を立ててこの要望に答えなければならないため、必然的に優先順位は高くなります。


一方、将来的にクライアントの利益になり得る仕事(例えば、発明の発掘支援、特許調査のレクチャー、または特許業務全般のコンサルティング)のみならず、自社内での推進業務(例えば、特許戦略提案の企画・立案、または人材教育体制の確立)は、期限にそれなりの猶予を設けて、じっくり考える必要があると思います。このため、優先順位を下げてでもある程度時間を掛けて取り組んだほうがよさそうです。ちゃっちゃかやって終わるような仕事ではないはずです。


また、法的で定められた期限を有する仕事(例えば、特許庁に対する拒絶理由対応手続、または登録料の納付手続)は、単純な作業でルーチン化できるものの、機会損失するとリカバリーができないため、優先順位を高めに設定すべきです。


一方、法的で定められた期限がなく、かつルーチン化できる仕事(例えば、権利移転登録の申請手続や代理権の申請手続)は、クライアントの事情及び自社の都合さえよければ、優先順位を低くしてもかまわないと思います。


このように、それぞれの仕事の「期限」と「取り組みやすさ」を考えて優劣をつけると、無駄のない業務計画を立てることができると思います。

posted by うっちー at 18:41| Comment(0) | 知財:全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月21日

【特許】ビジネスモデルが「発明」に該当しないと判断された例(「双方向歯科治療ネットワーク事件」から学ぶ)(2)

前回、「双方向歯科治療ネットワーク事件」の概略と考察について掲載しました。


http://yu-individual.seesaa.net/article/186267375.html


そこで今回はもう一歩踏み込んで、なぜこの発明(歯科治療システム)が、拒絶査定不服審判で2条1項の「発明」の要件を満たさないと判断されてしまったのか?について確認したいと思います。


被告(特許庁)の主張のポイントは以下です。


○「・・・し」という方法的記載から、単に「手段」という文言が附加されただけだから、その主体が人ではなく機械であると解されるものではない。


○「A手段」の主体が人か機械かは、「A」の文言を解釈した上で、発明の詳細な説明等にA手段について定義があるかなどを踏まえて実質的に理解されるべきであるところ、歯科医師が主体でない、歯科医師の精神活動に基づくものではないなどの定義は記載されていない。


○発明の認定は、特許請求の範囲である記載に基づいて行われるものであり、発明の詳細な説明に記載された事項に基づいて行われるものではない。


○データベースに蓄積された所定の情報は、人間への提示という形で利用されることが特定されているにすぎない。


○コンピュータを道具として利用してデータベースの情報にアクセスし、ここで得られた情報を画面上で見て参考としながら歯科医師が「・・・を判定する手段」や「・・・を策定する手段」として機能するものである。


○発明の詳細の記載からは、歯科医師が主体として、歯科修復要求を判定したり、治療計画を策定したりすることが開示されている。


ん〜、これだけ言われると、確かに「発明」じゃなくって、人の行為(精神活動)かもな〜って
思えてしまいますね〜。

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2011年02月16日

【特許】”人の行為”が含まれるビジネスモデルは”発明”か?(「双方向歯科治療ネットワーク事件」から学ぶ)(1)


審決取消請求事件
平成19年(行ケ)第10369号
「双方向歯科治療ネットワーク事件」
※平成20年6月24日判決言渡 


本判例はポイントは、ビジネス関連発明において、”人の行為”、すなわち人の精神活動が特許請求の範囲に含まれていることを理由に、「発明」に該当しないというべきではないと判決したことです。


また、上記判決をするにあたり、特許請求の範囲の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとの”特段の事情”があるため、明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌するという「リパーゼ最高裁判決」を適用したことも、注目すべき点です。


つまり、ビジネスモデルにおいて、人の精神活動と言える行為(本判例では「・・・判定する手段」や「・・・策定する手段」)が入り込む余地は多々あるが、明細書の記載内容も含めて”システム全体”として見たときに、ハードウェアとソフトウェアが一体として用いられていることを明確に示せれば、「発明」として成立し得るのではないかと考えられます。

posted by うっちー at 23:19| Comment(0) | 知財:特許 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月13日

【仕事】1つの技術を極める


今月の経済界に、岡野工業代表社員の岡野さんの談話が載っています。


経済界 2011年 2/22号 [雑誌]


岡野さんについては、「次世代の発明家へのメッセージシンポジウム(主催:発明協会)」の感想をブログでも書きましたが、生粋の職人であると共に、ビジネスマンとしても世界中の企業から注目されている、日本を代表する技術者の一人だと思います。


「次世代の発明家へのメッセージシンポジウム」に行きました(1)
http://yu-individual.seesaa.net/article/174102998.html


岡野工業は金属の「深絞り加工技術」の極め、他社では製造不可能だったプリウスのバッテリーケースや”痛くない”注射針「ナノパス33」等を手掛けた町工場です。


1つの技術だけを徹底的に磨き上げてたからこそなせた偉業。


誰もできないこと、やりたがらないことに取り組み、それを成し遂げればブランド力がつく。そのためには自分で考えて行動し、”可能性”を見出すこと、つまり、できることとできないことを自らの経験に基づいて判断するのが大事ということです。


岡野さんの場合、6割できると思ったらやり、あとの4割は未知の世界らしいです。しかしこの6割には、日々積み重ねた経験値(暗黙知)からはじき出される可能性が含まれているため、隠れた自信さえ伺えます。というか、7割以上できると可能性の仕事であれば、そもそも依頼はこないのかもしれません(笑)。


余談ですが、現在の大手企業では、リーダーシップやマネジメントを若い社員に行わせる風潮が強いように思えます。それは、バブル全盛期から積み上げられた負の遺産処理を命じるかのようにも見えます。


特に製造業にとってリーダーシップを発揮する存在は非常に貴重であり、ビックプロジェクトを割り当てることも多々あります。また当事者は、責任重大なミッションを任されたと自負して一生懸命取り組みます。しかしそのような仕事ばかりだと、技術力が養われないばかりでなく、後の人材育成もままならないのでは?と思ってしまいます。


町工場と大手企業とでは仕事の仕方が異なるため同じ尺度で考えてはいけないかもしれませんが、若い人たちのマネジメント力と技術力の融合が、数年後の日本を支えるのではないかと考えています。そのため、1つの技術を極めるという精神は一人一人が持っていてほしいと、個人的には思います。




posted by うっちー at 23:46| Comment(0) | 知財:全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月09日

仕事の効率を考える(1)

多くの仕事をさばくには、


(1)計画を立てて仕事の優劣(重み付け)をつける


(2)仕事の妨げとなる要因(ムダ)を排除する


(3)一つ一つの仕事を行うスピードを上げる


という3つのことを真っ先に思い付きます。


(1)をなぜ一番初めに思いついたかというと、


3つの中で最も手間をかけずにに行うことができるだからです。


仕事が多すぎる〜!とか、仕事が複雑すぎる〜><とかいう感覚に陥る原因の一つは、


仕事の全体像を把握していないことばかりでなく、個々の仕事の手順が曖昧なまま取り組んでいることが考えられます。


霧の中をがむしゃらに走っても、距離と方向がわからなければ決してゴールにはたどり着けません。たどり着いたとしても、多大な時間と労力を費やしているはずです。


またこのことは仕事に限らず、勉強や趣味にも当てはまります。


時間がないから勉強できないよ〜とか、趣味する時間ほしいな。。。と諦めてしまうのは非常にもったいないです!


まとまった勉強時間を確保できないとしても、勉強の全体像を把握した上で、例えば隙間時間を効率よく利用して継続的に取り組めば、大きな成長につながります。


時間も能力も有限であることを自覚することが、まずは最も大切です^^。
posted by うっちー at 23:58| Comment(0) | 知財:全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月05日

【読書】「仕事の思想」田坂広志(著)




≪一言感想≫



何歳になっても新鮮な気持ちで読めます。



特に行き詰った時に見返すと、迷いが吹っ切れる感覚を得ます。



≪こんな人にお勧めです≫



○就職しようか迷っている高校生・大学生・大学院生



○まだどうやって仕事に取り組んだらいいかわからない人(例えば社会人1〜3年目)



○仕事に対するモチベーションを上げたい人(例えば社会人7〜10年目)



○後輩や部下の教育の仕方がわからな人(例えば社会人10年以降)



≪この本を読んで想うこと≫



やりたい仕事と自分の日常業務とは必ずしも一致しないと思います。



またやりたい仕事が自分の日常業務になったとしても、それが幸せかどうかわかりません。



なぜなら、やりたい仕事が自分の日常業務になった瞬間から、それが「任務」にすり替わってしまうからです。



したがって大切なことは、やりたい仕事であろうがなかろうが、その仕事が自分の価値観と結びつく点はどこか?と探る意識を持って取り組むことだと考えています。



やりたい仕事の場合、その任務を全力で取り組んで結果を出したときの達成感は絶大です。



そしてその経験が何よりも最高の報酬になり、さらにやりたい仕事ができるようになるのではないでしょうか。



一方その任務の重圧が増してやりたい仕事がやりたくなくなったり、そもそもやりたくない仕事しかできなかったりする場合には、自分の価値観と多く結びつけばつくほど、仕事に対するモチベーションがあがるばかりでなく、素直に楽しみながらこの仕事に取り組めると考えています。



ここで「価値観」とは個人差があって明確に定義しきれませんが、例えば仕事を選んだ理由、将来のキャリアプラン、趣味や教養、愛する家族や恋人、お世話になっているお客さん、共に切磋琢磨している友人、又は同じ釜の飯を食っている上司・同僚・部下が該当します。



ようは仕事に向う動機付けが必要であり、この動機付けが多ければ多いほど、大切であれば大切なほど、”人生の一部”に仕事をスムーズに取り入れられるため、ストレスや不安も解消していくと考えられます。



逆に、価値観と一致する点が全くなく、動機付けが金銭的な対価のみになってしまうと、心のコミュニケーションが取り難くなってしまうので、なるべく回避したいものです。



したがって仕事を与える側も、共有できる価値観を引き出す取り組みや金銭以外の報酬を積極的に提供する試みが必要であると考えています。



なにはともわれ、目標や夢をかなえることのみならず、成果を出しつづけることは、そうたやすいことではありません。



ときには遠回りしちゃったり、寄り道しちゃったりしてもいいじゃないですか。



やり続ければ必ず道は開けると信じています。



そしてなにより仕事には人と人との縁があるはずです。



この縁が花開くことを楽しみにしつつ、日々精進したいと思います。
posted by うっちー at 15:31| Comment(0) | 読書:一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月01日

【特許】発明の本質の捉え方が違うと…(「中空ゴルフクラブヘッド事件」から学ぶ)(2)

前回は「中空ゴルフクラブヘッド事件」から発明の本質の重要性を学びました。



http://yu-individual.seesaa.net/article/182617395.html



他者を権利網に引っ掛けられるかどうかは、発明の本質の捉え方次第に思えます。



つまり出願時に発明の本質を広めに捉えるか?狭めに捉えるか?がキーポイントではないでしょうか。



このケースの場合、発明の目的は、



「金属性の外殻部材と繊維強化プレスチック製の外殻部材との接合強度を高めること」と出願時の明細書に記載されています。



部材については限定的に記載していますが、その他は上位概念で表現しているようですね。



また出願から登録までの間に、拒絶査定不服審判等を経由して出願当初は請求項5だったクレームを請求項1に補正して特許査定を得ています(IPDLの審査経過情報より)。



つまり”貫通孔を介して結合する”という構成が特許性を満たす必須の条件だったと考えられます。



このケースから、発明の本質はなるべく広めにとっておくことが無難であると言えそうです。



しかしあくまでも公知技術との”差”を明確にできるギリギリのところまで落し込まなければ、



進歩性がないと判断されるリスクがあると考えられます。

posted by うっちー at 22:38| Comment(0) | 知財:特許 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月26日

【特許】発明の本質の捉え方が違うと…(「中空ゴルフクラブヘッド事件」から学ぶ)(1)

以前、特許出願の準備をする前に、



発明の本質の整理」をしたほうがよいことを記載しました。



http://yu-individual.seesaa.net/article/181532188.html




では発明の本質の整理を具体的にどうやるか?



ということを考える前に、



発明の本質の”捉え方”について問題になった「中空ゴルフクラブヘッド事件」について軽くふれたいと思います。



まず争点となったそれぞれの技術的特徴の概略を簡潔に言うと、



特許発明品では、



複数の『貫通穴』がある金属製外殻部材にプラスチック製の『縫合材』を交互に通して、



この縫合材と同質のプラスチック製外殻部材とが面して結合しています。



すなわち、同質の縫合材がプラスチック製外殻部材に一定の間隔毎に接するため、



金属製外殻部材との接合強度が高まるというものです。



一方、模倣品(イ号物件)では、



『透孔(≒貫通孔)』を介して『短小な帯片』がそれぞれの外殻部材の外側面に接するように階段状に折り曲げることで、



外殻部材同士を結合しています。



したがって模倣品における『短小な帯片』が、



特許発明品における『縫合材』に該当するか否か?(すなわち特許発明の技術的範囲に属するか否か?)、



該当しないならば均等論の5要件(特に本質的要件)を充足するか否か?を争いました。



結論としては、



『縫合材』は発明の本質ではなく



均等論の5要件を充足して均等侵害が認められました。



しかしもし知財高裁で『縫合材』が発明の本質部分として判断されたら、



非侵害の判決がでていることになります。



このように発明の本質をどう捉えるかによって、



判決のみならず審査においても変わってくると考えられるため、



発明の本質の整理は非常に重要な作業になります。


posted by うっちー at 23:49| Comment(0) | 知財:特許 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月23日

【読書】「女子大生マイの特許ファイル」稲森謙太郎(著)




≪一言感想≫


分かり難い特許の制度を、実話に沿って丁寧に順番に
説明しているため、非常に読みやすかったです。



お薦め:



面白いモノを考えたけどどうしていいかわからない人



特許の世界をのぞいてみたい人
    
   
   
これから特許のことを勉強しようとしている人
    
    
    
特許関係者でクライアントに特許について分かり易く説明したいと思っている人




特許はどうやってとるのか?



仕事で関わりがある人以外で知っている人って少ないと思います。



だから、いいアイディアや便利なモノを思いついたとしても



特許を出願しよう!というところまで辿り着かないのかもしれない。



そもそも特許って仕切りが高いイメージがある気もする。



毎日研究室に閉じ困った”白衣を着た博士”が試行錯誤して



ようやく完成した発明品くらいじゃないと、特許ってとれないんでしょ?



と誤解をしている人が少ないないように思える。



そういう人はこの本を読んでみるといいかもしれない。



読めば誤解が少しだけ解けるような気がします。



主人公のマイさんは好奇心旺盛で、



将来的にはビジネスを立ち上げたいという視点から、



特許の世界を垣間見ています。



当然ながらマイさんも特許に関しては素人なので、



着目するのは奇想天外な発明や、芸能人や著名人が出願している



発明など、比較的わかりやすい内容に的を絞っている。



その隣で、発明者の背景発明を生み出したエピソード



この発明の特徴特許出願前後の注意点



特許出願後の経緯、及び特許を取得した後の実話などを



弁理士の先生が詳しく説明してくれています。



とても読みやすい本なのですが、



これらの制度をビジネスにどう活かしていくか?



活かした結果、どういう旨みを得られるのか?



という視点で、もう一歩マイさんに踏み込んでいただき



たかったです。
posted by うっちー at 19:48| Comment(5) | 読書:一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月19日

【特許】出願の準備をする前にすること


まず「特許出願の準備」とは、出願書類の作成をすることを示します。



出願書類とは、特許請求の範囲、明細書、必要な図面、及び要約書です。



すなわち特許請求の範囲等の作成に入る前に、



特許を取れる”筋書き”が完成していることが好ましいです。



ここで「筋書き」とは、先行技術と対比して特許性(主に進歩性)を主張し得る有効な権利範囲の構築が該当します。



ちなみに、徐放性ジクロフェナクナトリウム製剤事件(東京地裁平8(ワ)14828号)では、



特許発明の本質的部分か否かは、



特許発明を先行技術と対比して課題の解決手段における特徴的原理を確定した上で判断すべきと判示していることから、



課題とその解決手段とにより発明の本質的部分が確定されると考えられます。



したがって、特許出願の準備をする前に行うことは差し当たり以下の2点と思われます。



@発明の本質の整理



A先行技術文献の調査


posted by うっちー at 23:15| Comment(0) | 知財:特許 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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